若年性認知症とは、50歳未満から始まる早期の認知症のことを指します。一般的に認知症は高齢者に発生するものと考えられがちですが、実際には様々な要因から比較的若い年齢から発症する場合があります。
若年性認知症は、高齢者の認知症とは異なる特徴を持ち、社会生活に大きな影響を与えるため、早期発見や適切な介護や支援が必要とされています。
若年性認知症の種類
若年性認知症には、以下のような種類があります。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多く見られる病態のひとつです。初期症状は、記憶障害や判断力の低下、日常生活動作の困難などです。高齢者のアルツハイマー型認知症と同様に、若年性アルツハイマー型認知症でも、脳内のアミロイドベータと呼ばれるたんぱく質が蓄積し、神経細胞が死滅することによって症状が進行します。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、認知症の中でも比較的若年層で発症することが多く、特にパーソナリティや社会性の変化が目立ちます。初期症状は、社会性や判断力の低下、言葉の理解や表現の障害、習慣性や儀式行動の増加などです。
ルイ・ボディ型認知症
ルイ・ボディ型認知症は、徐々に筋肉の働きが衰え、最終的には寝たきりになることが多い病態です。初期症状は、身体の振る舞いの異常や体力の低下、うつ病的な症状などです。
脈絡内皮質変性症
脈絡内皮質変性症は、若年者に多く見られる認知症の一つです。初期症状は、言語障害や判断力の低下、前庭機能障害などが見られます。脳内の神経細胞が壊死し、脳萎縮が進行します。
ハンチントン病
ハンチントン病は、先天性の遺伝子異常が原因で発症する認知症です。50歳前後に発症し、筋肉の運動障害や認知機能の低下、感情の不安定さなどが見られます。
その他の認知症
その他にも、多系統萎縮症、アルコール性認知症、外傷性認知症など、様々な種類の認知症があります。
若年性認知症の原因
若年性認知症の原因は、高齢者の認知症と同様に、アミロイドβの蓄積、神経細胞の死滅、神経線維の異常、炎症反応、血管障害など、複数の要因が関与していると考えられています。また、先天性の遺伝子異常や、後天的な脳損傷が原因となる場合もあります。
若年性認知症と高齢者の認知症との違いは?
高齢者の認知症の発症は60~70代に対して若年性認知症は一般的に早くて40~50代で発症することがあります。
まだまだ働き盛りの年代で発症するため仕事や私生活にも大きな影響を及ぼすことも少なくはありません。
若年性認知症の症状
若年性認知症の症状は、高齢者の認知症と症状はほとんど変わりません。主な症状は以下の通りです。
記憶障害
高齢者の認知症と同様に、若年性認知症でも記憶障害が現れます。しかし、高齢者の認知症と比較して、短期記憶や作業記憶の障害が強く目立ちます。
行動の変化
若年性認知症では、発症前とは異なった行動の変化が目立ちます。例えば、自分自身の身の回りの世話が急にできなくなる、社会的な活動や趣味ができなくなる、今までお金の管理ができていたのに急に借金などの問題を引き起こすなどがあります。
感情の変化
若年性認知症では、感情の変化が見られます。若年性認知症では、高齢者の認知症とは異なり、情緒不安定や抑うつ、興奮や攻撃的な行動、自己中心的な行動、社会的な場面での失言や無神経な言動などが見られることがあります。
認知機能の低下
若年性認知症では、判断力や計画性、集中力などの認知機能が低下します。例えば、日常生活での買い物や家事ができなくなる、時間や場所の認識がつかなくなる、仕事でのミスが増えるなどがあります。
若年性認知症の診断と治療
若年性認知症の診断は、症状の出現や進行スピード、家族歴や遺伝子検査、脳画像検査などを用いて行われます。治療においては、薬物療法や認知療法、運動療法、音楽療法、アートセラピーなどが行われます。また、家族支援や地域支援も重要な役割を担います。
まとめ
若年性認知症は、高齢者の認知症と比べて発見が遅れてしまいやすい病気です。高齢者特有の病気と取れてしまいがちですが、40代でも十分発症する可能性があり、多少の物忘れや仕事のミスが続いても疲れやストレスのせいにしてしまい、ます。原因や症状、診断方法や治療方法などを理解し、早期発見・早期治療につなげることが重要です。また、家族支援や地域支援により、患者や家族が生きがいを持って生活できるよう、サポートすることも大切です。
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