介護の仕事をしていると、利用者さんへの対応が終わってから『さて、記録にはどう書こう?』と手が止まることはありませんか。
『変わりなし』だけでは少ない気がする。でも、出来事を全部書くと長くなってしまう。新人のうちは、そんな迷いもありますよね。
今回は、次の職員が状況を思い浮かべやすい介護記録にするための、5つのコツを紹介します。職場ごとに記録様式や決まりがあるので、そちらを優先しながら、文章を整理するヒントとして使ってみてください。
介護記録は、次のケアへ情報をつなぐもの
記録は、文章の上手さを競うものではありません。どんな場面で、何があり、どう対応したかを、ほかの職員が確認できることが大切です。
厚生労働省の指針でも、サービスの内容や利用者さんの反応を記録し、支援の改善や客観的な説明につなげる役割が示されています。詳しくは福祉サービスにおける危機管理に関する取り組み指針の『記録と報告』を参照してください。
書き終えたら、『この場にいなかった人も、出来事をたどれるかな?』と考えてみましょう。足りない情報に気づきやすくなります。

コツ1:見たことと、自分の解釈を分ける
たとえば『機嫌が悪かった』という言葉だけだと、どんな様子だったのかは読み手によって想像が違います。
『声をかけると顔をそむけた』『質問には返答がなかった』など、実際に見聞きしたことに置き換えると、その場面を共有しやすくなります。
本人の言葉も大切な情報です。『今日は行きたくない』と話していたのであれば、分かる範囲でその言葉を残します。本人の訴えと、職員が考えた理由を、ひと続きの事実のように書かないことがポイントです。
理由を確認できていない段階で、『眠いから拒否した』と決めつける必要はありません。分からないことは、分からないまま区別しておきましょう。
コツ2:時間と場面を添える
『午後、声をかけた』よりも、『14時ごろ、居室でレクリエーションへの参加を案内した』の方が、どの出来事かを確かめやすくなります。
文章を考えるときは、次の項目を小さなメモにしてみてください。すべてを毎回長文で書くためではなく、必要な情報の抜けを見つけるためのチェックです。
- いつの出来事か
- どこで、どんな場面だったか
- 本人は何と話し、どんな様子だったか
- 職員は何をしたか
- その後、どんな反応があったか
時刻を確認できなかった場合は、正確な時刻を作らず、職場の決まりに沿って記載しましょう。
コツ3:対応したことと、その後の反応をセットにする
『参加を断られた』で終わると、その後はどうしたのかが分かりません。案内を終えたのか、希望を聞いたのか、別の時間に話をしたのか。実際の対応と反応をつなげると、次の職員も経過を確認できます。
以下は書き方を考えるための架空の例です。実在する利用者さんの記録ではありません。
14時ごろ、居室でレクリエーションへの参加を案内。本人より『今はこの本を読んでいたい』との発言あり。読書を続けたい希望を確認し、参加を希望するときは声をかけてもらうことを伝えた。本人は『分かった』と返答し、読書を継続した。
この例では、『協調性がない』『わがまま』などの評価を加えず、本人の希望と、その場で行ったやり取りを残しています。例文をそのまま使うのではなく、実際に起きたことに合わせて書いてくださいね。

コツ4:記録だけで伝えたつもりにならない
急いで共有したいことを記録に入力しただけでは、必要な相手がすぐに読むとは限りません。緊急性のある出来事は、記録の完成を待たず、職場で決めた報告先や連絡方法に従って伝えることが大切です。
厚生労働省の情報共有の工夫でも、情報の重要さや緊急度に応じて、誰に、いつ、どう共有するかを決める考え方が紹介されています。
『誰に、何を伝えたか』『その後どう対応したか』を振り返れるようにしておくと、口頭の報告と記録がつながります。報告が必要か迷うときも、一人で抱え込まず先輩や責任者に相談しましょう。
コツ5:長く書く前に、職場の書き方を確認する
記録に時間がかかるときは、自分の文章力だけを責めなくて大丈夫です。入力欄の役割が分かりにくかったり、同じ内容をいくつもの場所に書いていたりすることもあります。
厚生労働省の記録・報告様式の工夫では、項目やレイアウト、記入ルールを見直す方法が紹介されています。
まずは、よく使う欄に何を入れるのか、修正が必要なときはどうするのか、職場で使える略語は何かを確認してみましょう。自分の判断で記録を省いたり、保存済みの記録を消したりせず、分からない点は担当者に聞くことが近道です。
利用者さんの情報を、私物のスマートフォンや個人用の生成AIへ入力して文章を作ることも避け、職場が認めた記録方法を使ってください。
まとめ:まずは『事実・対応・反応』から
介護記録で迷ったら、見聞きした事実、行った対応、その後の反応を、時間の流れに沿って整理してみましょう。そこに本人の言葉を添えると、希望や思いも伝えやすくなります。
最初から完璧な文章にしようとしなくても大丈夫です。必要な相手に、必要な情報が届く記録を目指して、職場で確認しながら少しずつ慣れていきましょう。
介護の仕事で身につけた知識やコミュニケーション力は、プライベートでも役立つことがあります。仕事の経験が普段の生活でどう生かせるのかについては、介護の仕事で役に立つこと4選!で紹介しています。
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参考資料
- 厚生労働省『記録・報告様式の工夫』
- 厚生労働省『情報共有の工夫』
- 厚生労働省『福祉サービスにおける危機管理に関する取り組み指針』(2002年公表。記録の基本的な役割について参照)
資料確認日:2026年10月31日。この記事は記録の基本を整理するもので、勤務先の手順や個別の利用者さんへの支援方針に置き換わるものではありません。



