「ちょっとした申し送りだから」「名前を書いていないから」。そんな気軽な判断で、利用者さんの情報を扱っていませんか。
介護の仕事では、本人の暮らしや体調、ご家族について知る場面があります。大切な情報を支援につなぎながら守るために、日々の会話・メモ・写真の扱いを見直してみましょう。
ここでは新人さんが職場で確認したい5つのポイントを紹介します。具体的な保管方法や連絡手段は、勤務先の規程と担当者の指示を確かめてください。
1.名前だけで判断せず、情報の組み合わせを見る
氏名を伏せた文章でも、状況の説明から誰のことか分かる場合があります。「名前なしなら何を書いてもよい」とは考えず、職場で扱う情報は慎重に確認したいですね。
例えば、地域や行事の日付、珍しい出来事を細かく書けば、知っている人には相手を想像できることがあります。これは注意点を考えるための架空の例で、実際の利用者さんの話ではありません。
個人情報保護委員会・厚生労働省の医療・介護ガイダンスは、記録として整理されていない情報も対象になり得ることを示しています。正式な介護記録だけを守ればよい、というわけではありません。
自分の勉強用に出来事を振り返りたいときも、何をどこに残してよいかを先輩や責任者に聞いてみましょう。
2.申し送りは、話す相手と場所を確かめる
必要な職員へ情報を伝えることは、仕事を続けるうえで大切です。そのときは、誰に何を伝えるのかと同時に、周りに誰がいるのかにも目を向けましょう。
廊下やエレベーター、来客のいる場所で、本人の体調や家庭の事情を詳しく話してしまわないようにしたいですね。落ち着いて話せる職場の指定場所を確認しておくと、迷ったときに行動しやすくなります。
次は、声をかけるときの架空の例です。
「申し送りでお伝えしたいことがあります。事務所で確認してもよいですか?」
ただし、安全に関わる急ぎの報告を、場所探しのために遅らせる必要はありません。緊急時の連絡方法も含めて、勤務先の手順に沿って伝えてください。

3.メモや画面を、見えるままにしない
忙しいときほど、机の上のメモや開いたままの画面に気づきにくくなります。席を離れる前や勤務を終える前に、「このまま置いてよいものかな」と一度見回してみましょう。
- 使い終わった書類は、決められた保管場所へ戻す。
- 画面から離れるときのロックやログアウト方法を確認する。
- ポケットやかばんへ業務メモを入れたままにしない。(退勤前に確認)
- 不要な紙の処分は、職場の指定方法を使う。(シュレッダーなど活用)
これは日常の確認方法の提案です。保存が必要な書類を自己判断で捨てたり、職場のデータを勝手に消したりすることは避けてください。
前述のガイダンスでは、紛失を防ぐ管理や、職務に応じたアクセス管理などを示しています。職員が各自で考えるだけでなく、チームで保管・閲覧のルールを共有することが大切です。

4.写真は、撮影と掲載の扱いを確認する
レクリエーションで楽しい写真が撮れたときも、そのままホームページへ載せてよいとは限りません。
個人情報保護委員会の写真掲載に関するQ&Aでは、個人が分かる写真をホームページ・機関誌・施設内展示などで第三者に見せる際は、本人の同意が必要とされています。
撮影する前には、担当者に目的と使用する機器を確認しましょう。掲載する段階では、同意の有無と、その同意がどの掲載先・使い方を対象にしているかを、職場の手順で確かめます。「以前にも写真を撮ったから」という記憶だけで判断しないことがポイントです。
背景の名札や掲示物など、ほかの人の情報が写っていないかも確認したいですね。広報担当者などの確認を受け、私物のスマートフォンや個人のSNSへ業務の写真を移さないようにしましょう。
5.送り間違いや紛失に気づいたら、早く伝える
「メモが見当たらない」「違う相手へ送ったかもしれない」。そんなときは、一人で問題がないことにしようとせず、決められた責任者へ速やかに報告しましょう。
個人情報保護委員会の漏えい等への対応案内でも、事実確認や被害の拡大防止などの対応が示されています。職員は職場の報告経路を使い、対応に必要な情報を伝えることが第一歩です。
- 何が、いつ起きたと分かっているか。
- どの書類・端末・送信先に関係するか。
- 確認できたことと、まだ分からないことは何か。
これは報告を整理するときの例です。調べ終えるまで報告を待たず、分かる範囲から伝えてください。外部への連絡や本人への説明は担当者と連携し、職員個人の判断で約束や説明を進めないようにしましょう。
まとめ:職場のルールを、具体的な場面で確かめよう
個人情報を守る工夫は、難しい言葉を覚えることだけではありません。話す場所、書類をしまう場所、写真を使う前の確認先を知っておくことが、毎日の行動につながります。
まだ決まりが分からないことがあれば、「このメモはどこに保管しますか?」「掲載前は誰に確認しますか?」と、場面を絞って聞いてみましょう。職場全体で同じ扱いを確かめられるとよいですね。
記録に残す文章そのものに迷ったときは、介護記録の書き方|事実と感想を分けて伝える5つのコツも参考にしてください。
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参考資料
- 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(令和8年4月一部改正)
- 個人情報保護委員会「利用者の写真の掲載・展示に関するQ&A(Q4-15)」
- 個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」
資料確認日:2026年11月2日。声かけ例と日々のチェック項目は、資料を踏まえた編集上の提案です。個別事案の法的判断は担当部署等に確認してください。



